ベティ・トンプキンス

ベティ・トンプキンスの人生はさながら映画のストーリーのようだ。露骨な性的イメージがとるに足らないものとなるよりも遥か昔にその擁護者となったこの一人のフェミニストアーティストは、多くのフェミニストたちに拒否され、やがて検閲の犠牲にもなり、ほとんど忘れられた存在となりながらも、ここに至っての近年の「再発見」である。それはアートとは何かということについての限界領域の絶え間なき変遷を描くのみならず、トンプキンスが最初のキャンバス作品を手がけた1960年代から私たちがどれほど遠くまでやってきたかということもよく示している。女性抑圧から、女性という性の祝福へ。ポルノ合法化から、ポルノを前提とする新たな行動様式の形成へ。ジェンダー平等運動の台頭からビジネス、政治、メディア、文化界で重要な地位を占める女性たちの登場へ、というように。

しかし、これらすべての変化を踏まえた文脈においても、トンプキンスの作品はおとなしく居場所を与えられることをけんもほろろに拒否する。トンプキンスは人々に多くの手がかりを与えない。彼女のほぼモノクロームの大型ペインティングの数々は、作品のタイトルに至るまで、あらゆるギミックを意図的にそぎ落としている。それらは何ら怯むことなく率直であり、それらがもたらす効果はロールシャッハテストのそれだ。すなわち、それが実際に何であるかよりも、そこに見出されるものこそが、その人の教養、信念、そして道徳的価値を反映する。作品を構成するすべての要素は等しく挑発的か、抽象的か、概念的か、あるいは、そのいずれでもない。

 

この特集記事はベティ・トンプキンスの意向に基づき、各作品に作家自身による解説が与えられた小さな回顧展として構成されている。

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