横田大輔:Vertigo

薄明かりの中、1つの点を結ぶ3本の線がぼんやりと見える。
それが天井の角だと分かるにはさほど時間はかからなかった。

 

AM 03:13

 

ふと目を向けた先でオレンジ色に点滅する電飾が時間を表示している。
部屋の明かりをしっかりと消して寝ていたせいか、いつもより視覚の感度が高い。
隅々に置かれている電子機器がプラネタリウムのように発光している。

 

今、私は普段の生活の場所から遠くはなれたホテルの一室にいる。
椅子、机、ベッド、鏡 . . .
最低限、とすら呼べないほどの限られた物。

 

この部屋には自身の延長としての集積物はなく、
接続されるべき対象への進行方向を失った記憶の断片が、部屋の隅々にまで充満している様だ。

 

外は雨が降っているのだろう。

 

落下していく雨粒が何かにあたり、かん高い音を一定の間隔で響かせている。
寝ぼけているであろう私は、平衡を失い交錯する時間を一つ一つ繋ぐ。

 

視線は対象を捉えずに宙空を漂い、
意識はその根の部分にとどまっている。

 

横田大輔

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