滝沢広

コンクリート・イズ・オン・マイ・マインドは破壊と複製をテーマに作られた作品群である。石や砂を素材として作られるコンクリートは、建築物や壁面として使用されていて、多くの場合、見た目も質感も類似している物が多い。その日常の中に、溶け込んだコンクリート素材の建築物や壁面が破壊されている場面に出くわす度に、そのモノの存在について考える事がある。破壊された瞬間に、モノの物質としての意味をなし、複製される事によって、また風景へと溶け込んでいく。コンクリートが自然物の岩や石と異なるのは、時間が圧縮されているだけでなく、行為の圧縮の蓄積と写真の性質である複製品としてのモノのあり方ではないだろうか。
 
figureは写真に収められたコンクリートのイメージを再度物質化する事によって、本来はプリントのシワや光沢がコンクリートそのものの特性や素材を表現しているかのような錯覚に陥る。写真の平面性と物質性を同時に提示する事によって、視覚に奥行きが存在し始め、触覚を伴った味わいを体験する事になる。

撮影されたコンクリートのイメージは、河原の中に自然石と同じように混ざり込んだコンクリートの破片だったり、街中の建築物の破損である。写真と同じように複製という性質を持ったコンクリートの破片は、破壊と複製を繰り返し、自然界の中に再び淘汰される事になる。
 
滝沢広

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