菅木志雄:置かれた潜在性

東京都現代美術館での菅木志雄・個展『置かれた潜在性』は、菅という作家の全貌を概覧するものであると同時に、菅自身が密接に関わっている「もの派」への誘いとしてもこの上ないものでもある。何の知識も持たずに会場に足を踏み入れただけでも、いつも見慣れた世界に潜む神秘を瞬時に感じ取ることができるだろう。日常用品、ありきたりの物体、そして産業文明が意図せずして作り出したものから構成される菅の作品は、理性以前の領域において未分化なままの調和と混沌を凍結するフレームである。私たちがそこで実際に目にするのは禅宗的な厳密さと精緻さで整えられた「間」であり、菅の作品はその存在の希薄さにおいて非の打ちどころのない「虚」である。展示は3月22日まで開催。

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