キュンチョメ:なにかにつながっている

日本を象徴する山、富士山。そのふもとには「樹海」と呼ばれる森が広がっています。

 

ここは一度踏み込むとすぐに方向感覚を失い、二度と出られなくなってしまうことで有名です。しかしもう一つ有名な側面があります。樹海には多くの自殺者が集まるのです。行き場を無くした人達が、この森の奥へ入り自ら死を選ぶのです。
多くの自殺志願者は死を選ぶか、それとも戻るか、迷いながら森の奥へとすすみます。気が変わったときに引き戻るため、紐をたらしながら森の奥へ進みます。そのため森には沢山の紐が残されています。

 

わたしたちは、自殺志願者が残した森の奥へと続く紐をたどり、この森にいまも隠れているかもしれない人と「かくれんぼ」をし始めます。

 

「かくれんぼ」は日本の伝統的なこどものあそびでです。鬼が目をつむり「もういいかい?」と問いかけ、他の子ども達が隠れます。隠れきった子どもは「もういいよ」と答え、隠れきれない子どもは「まだだよ」と答えます。

 

多くの死を迷う人が集まる樹海は、まるで子どもの遊びである「かくれんぼ」の延長であるようです。この森の奥には今もまだ、生きて迷っている人が居るかもしれない。わたしたちは姿の見えない彼らに「もういいかい」と問いかけながら、森の奥に進みました。

 

わたしたちは森の奥深くで、誰かの答えを待ち続けたのです。

 

樹海1日目
多くの人の痕跡を見つけました。身体を温める道具、煙草の吸い殻、酒のパック。
ここに来る人たちは皆、死を迷っているのです。

 

樹海2日目
首をつる為のロープだけが残されていました。人の姿はないけれど、でもここに死ににくる人が居る事は間違いなくて、それがとても悔しくて、わたしはひたすら叫びました。「もういいかーい?」

 

樹海3日目
この森にきてはじめて足が動かなくなりました。この奥へ行ってはいけない、と思って。でも奥へ進みました。そしてそこで、高い高い木にロープで繋がる”彼”を見つけました。

 

キュンチョメ