羽永光利:1960-70年代日本の前衛芸術とパフォーマンス

元々は絵描きを目指していた羽永光利 (1933—99) は、結核と事故により肺と脚に障害を抱えたことをきっかけに写真の道へと進みました。分野を問わずアンダーグラウンドな活動に目を向けた羽永は、写真を撮るばかりではなく、自らも共謀者や協力者として積極的に活動に関わるようになります。当時を知る人々の回想から浮かび上がるのは、写真家というよりも親しい友人としての羽永の人物像です。しかしながら、羽永のこれらの写真が生前に公表されることはほとんどありませんでした。

近年になり羽永の残した三万点余のネガが発見されました。そこに写されていたのは、一方では労働運動の盛り上がり、他方では日本経済の永遠に続くとも思われた奇跡的成長という矛盾の中で、社会と政治への根深い不満の渦中にあった混沌たるアートの姿です。この時代は、アートだけではなく、全てにおいて剥き出しの創造のエネルギーに満ちていたようです。
 

青山秀樹

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