Red Bull Music Academy Tokyo 2014

東京にはまるで無限にも思えるほどの選択肢があるが、こと音楽の多様性となると東京は世界の他の大都市に比べて遅れていると言えるだろう。地理的な遠さという要因はさしおき、日本の音楽産業は戦後アメリカのハリウッドのスタジオシステムのごとく利益に駆られた代理店に支配されており、クリエイティブな発展の余地は十分に残されていない。これに加え、近い未来に野蛮な歴史として振り返られるであろう、ライブハウスやクラブを売春宿と同じカテゴリーとして扱う時代遅れの法律もあり、プロモーターは若く革新的なミュージシャンに賭けることを怖れ、その代わりに、耳触りがよく、カラオケ向きの、満員のスタジアムを保証できる遠い過去の大御所にばかり向かいがちだ。

Red Bull Music Academyをブランディング目的のショーだと批判する人もいるかもしれない。しかし、同時代の最高のタレントを紹介してきたRed Bullの長い実績と深い知見、そして音楽シーンとの現在進行形の関わりを考えれば、もし仮に彼らが利益を追求するならば他にいくらでもやりようがあることはすぐにわかるだろう。今回で16回目となるRed Bull Music Academy Tokyo 2014では、アンダーグラウンド・ヒップ・ホップから、実験的エレクトロニカ、ノイズ、ポスト・クラシカルに至る幅広いジャンルから選ばれた59人/組のミュージシャンたちが耳と目を楽しませてくれる、今この瞬間の音楽の在り処を目の当たりにすることのできる稀有な機会である。11月14日まで開催。

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