任航(レン・ハン): 東京

「できるものならやってみろ」をものにする瞬発的なスナップショットの美学、そして、衣装を用いず演出されるアート志向のファッションストーリー、このふたつの間にあるスイートスポットをくすぐるのが任航(レン・ハン)の写真だ。検閲まみれの中国からあたかも綿密に仕込まれた宣伝行為のように声を上げ、主要な美術館やギャラリーでの展示という名声への一般的ルートを巧みに回避し、どこか遠い国の一人の才能ある若者という立場から台頭した任航は、ただありのままで、インターネット時代のサクセスストーリーを体現している。任航は自ら脚本と監督を手掛ける愛とサバイバルの映画を翌年に向けて準備中であり、それをありきたりの映画にするつもりがないことは明白である。

任航の寡黙さは札付きだ。写真以外に何か楽しみはあるかと尋ねれば「詩を書くこと」、あなたにとってセックスとは何かと問えば「セックスはセックスでしかない」、という調子だ。そこで、任航のモデルたちに撮影での体験について話してもらうことにした。

 

- 任航に撮影されることになって期待したことは?
マヒトゥ・ザ・ピーポー(GEZAN)/ 音楽家 / 27歳
「まだ言葉になってない部分を感じたり、見たことのなかった身体のラインを知れたら、そんなことを期待していました。」

 

- 任航の撮影で刺激的だったことや、撮影を通じて自分自身について初めて発見したことは?
(Ms. Machine)
「自分自身を剥き出しにする、挑むような経験だった。彼の作品は、日常生活をおくっていたら見ることのない光景、また、人が目をそらすようなモチーフを扱って写真の世界を作るから非現実的な作品を見ている気分になる。」

 
兎丸愛美 ヌードモデル / 24歳
「レンハンの考える美しさは大胆なのに繊細で、普通のひとなら考えられないポージングをしたり落ちたら死ぬかもしれないような場所に立たされたりと、とにかく無茶苦茶でした。その無茶苦茶な要求に興奮した自分がいます。全てが楽しかったです。レンハンの前だと、裸でいることがごく当たり前のことのように感じました。裸になることに対して罪悪感を抱いていた自分を解放することができて気持ちが良かったです。」

 
All photos © Ren Hang

 

スペシャルサンクス: 中橋 健一(取材協力)

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