今井俊介

そこにある距離とそこにあるはずのない距離とそこに対する距離を測ることで僕は世界を見たいと思う。

 
平坦な画面にこれといった特徴もなく平滑に色とかたちを定着させてみる。

ぬり絵のように塗り分けていくから、そこにある色とかたちは同一階層に存在している。強い色彩は視線を跳ね返し、色と色の接点を明確にも曖昧にもする。それなのにそこに浅かったり深かったりの差はあれど空間が生まれ、色面が立ち上がったり倒れたりする。

でも絵画である以上はその裏側には何もないし、そこに入っていくことはできない。

まるで風になびく旗を見ているような感覚を覚える。旗ははためいていると量感を持った存在だが、それはただ1 枚の布であってその裏側にはなにもない。

東京の猥雑な夜の街を歩くとまばゆいネオンが煌々と光り、ファストファッションのお店にいけばケミカルな色の洪水に溺れる。その色の集積に意味はなくそこには巨大な空洞だけがある気がする。
わたしの絵画はそういうものだ。

 

今井俊介

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