ステファン・セドゥナウィ: Certainty Not

ステファン・セドゥナウィにとって自身の作品を見つめなおすこと、そしてそれが彼自身にとって意味するものを反芻することは、彼がアーティストとしてのアイデンティティを定める上で重要な実践となっている。写真家・音楽映像ディレクターとしての影響力は計り知れないセドゥナウィだが、近年では非商業的な制作に向かい、この数年ではより私秘的なプロジェクトを手がけている。彼の最新作「Certainty Not」は、アイスランドの生粋の才能であるビョークとの一世を風靡したコラボレーション映像「Big Time Sensuality」の翻案であり、その一部がここで世界初公開となる。

 
MoMAでの回顧展を控えたビョークから誘いを受けたのが一年前のこと。かつて私が彼女のために制作した映像「Big Time Sensuality」を用いて展示のために何か作ってみないかということだった。ビョークとの邂逅は私を1993年の記憶へと深く引き戻した。かねて私はこの作品をミュージッククリップとして考えたことは一度もなく、むしろ私自身の人生におけるひとつの私的な瞬間を象徴するものとして捉えていた。そこに密かに込められた消えかけの感傷のメタファーとして時間の変貌というものを探求してみようと思い、私はこの映像に再び手を入れることを決めた。オリジナルのメタルテープの中の一本のメタル磁性体の劣化は、私の記憶の在り様と完璧に共鳴していた。完全な静寂の中、音楽も無く、映像を見つめた私は、モニターからイメージが消え行くたびに私自身と私の感情が重なっていくことを感じた。消滅するイメージは、なおもそこにあり、映像のノイズの裏側に、手で触れるよりも魂で感じるものとして、たしかにその姿を保っているのだ。

しかし予期せずして企画者により展示コンセプトが変更となり、回顧展では元々の「Big Time Sensuality」が展示されることになった。それでもなお私はこのプロジェクトを最後までやり遂げることを心に決めていた。なぜならそれは私にとって言葉では表すことなどできそうもない何かを表現しているからだ。
 

ステファン・セドゥナウィ