吉原

かつての日本最大の歓楽街・吉原がその最盛期を過ぎて久しい。人気のない路地の静寂を時おり乱すのは、音もなく顧客たちを送迎するワゴン車だけだ。もはや人々を惹き寄せることもなくなったこの街がアーティストたちの空想やファッションの新たな流行を刺激していたのは一世紀以上も前のことになる。ここで目につくものといえば、この土地の役割を暗示するちょんの間や正装した門番たちといったものだ。警察の取り締まりの後に残されたソープランドは、けばけばしい張りぼての街並みの陰で、年金生活者と中国からの観光客を誘い込むことでなんとか生きながらえている。あたかも地域全体が行政による最後通牒の宣告を待っているかのようだ。おそらくそれは間近に迫るオリンピックのための都市浄化の中で現実となり、吉原とその複雑な歴史は、まるで悪名高き浄閑寺の裏門に眠る無名の遊女たちのように、打ち捨てられていくのだろう。

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